お仕事漫画といったら柴門ふみさん
「テレパルf」で連載されているお仕事漫画「ザ・ゴールデン」が面白い。内容は簡単にいいますと新米ADの奮闘記。毎回リアリティあるエピソードが盛り込まれ、物語を締めているんですが、これがこの漫画のポイントでして、この漫画を単なる“ドジな新人のお仕事日記”としてないところの所以かもしれません。
今月号のリアリティエピソードは“企画のパクリ”。
読んでいて胸が熱くなりました。
昔も今も、自分の企画が人の企画としてとおっていく様をそれこそ、飽きるほど見てきました。私はそういう運命なのか・・・。と非科学的なことも思ったものです(笑)。
若い頃は心のソコから悔しいという気持ちも強く、自分の気持ちのもって行き場所に困っておりました。そんなクサクサしているときに「人にパクられるだけいい企画なんだよ」と、とある友人に言われ、以降、なんとか自分の心だましながら、日常を保ってきました。
そんな時代から早ん十年。未だに、人の企画をそのまま流用するおかたがゴロゴロいます。
(衝撃的な事実を言いますと、1度プレゼンではじかれた企画を、別のクライアントに出している代理店とかいるんです。ありえないですよ。その企画のために考えた案じゃないのに……)
アイデアか企画といわれると、ここがとても難しく、酒を飲みながら「あんなの面白いよね」というのはアイデア。ちゃんと費用対効果を考え、人を“説得”できるものが、企画。だと、私は意識しています。
もちろん、アイデアは大事です。だからこそ、飲み屋の与太話で終わらせず、そこからブラシュアップして“企画”にすることが大事だったりします。
そして、やっかいなのは、アイデアや企画は、自分が考えた。と言い切れる証拠が実は何もない。ことだったりすること(有名な方ならこんなことないのかもしれませんが、私は無名なので主張するすべも見つからず)。企画がとおった段階で、誰がたてたか。なんて案外どうでもいいのです。 が! もともとのアイデアは企画を立てた本人の頭の中なので、企画をつめていく段階で、破綻がくるのです。でも、パクっているものだから、本人に聞くこともできない。ハリボテ企画もいいところです。
本当はもっと面白いことできるのになぁ・・・。と、これも外野から見ていて何度思ったかしれません。
こんなことよくあること。
確かにそうです。
それでも私は主張したい。
パクった人は大概こういう
「誰でも思いつくよねー、よくあるネタだよ」
と。
なんですかね。その言い方。
私は心をたくさん遊ばせないと、いい企画は出ないと思っています。いろいろなものを見て、感じて、人と出会って、だからこそ見えてくるものがあります。逆を言えば、人とちゃんと向き合っていなければ、人に届く企画なんてできるわけがないのです。それには少ない時間をやりくりして、お金も使っているわけでして、それをいとも簡単に自分のもののようにしてしまえる根性が、私はほんとに理解できないですし、気に入らないです。
企画のきっかけなんて些細なものですが、それでも日常の中でネタを探していることはまぎれもない事実。
“誰でも思いつくもの”と一言で片付けるアナタたちは、それすらも思いつかないわけなので……。
と何度口から出そうになったか。
企画のまんま、パクリ、のようなことが大人になった今でも、一向に減らないので(それどころがだんだんエスカレート)、私はいつからかアイデアレベルであっても人(信用おける人以外の)前でしゃべらなくなりました。たとえ何も考えていないといわれようとも。
出すときにバチっと決めたらそれでいいので。企画書見てもらえばそれでいいし。ダメだったらそれは自分の中で納得がいくので。
私には漫画に出てくる、羽柴くんのような人がいないし(苦笑)、そんなにタフじゃないんです。メンタルが。
いろいろな編集業務のうち、企画編集は比較的私が得意な分野です。と、もうそろそろ言ってもいいかなと。
いろいろ考えている時間が一番楽しいですしね。やりたいこともたくさんあります。
誰でも思いつく。
言葉で言うと簡単ですが、ものすごく深いですよ。ここら辺って。
デザインも企画も、何かを受けたら合格、というものでないですが、志だけは磨いておきたいものです。
#こういうことって、些細なことだ。よくあることだ。って、心の底から割り切れるようになるものなのでしょうか。
わたしも月日が経てばどうにかなるかと思っていたのですが、一向に納得できないので。。。子どもなんでしょうかねぇ。そう思いながら今日もガシガシ、ノートにキーワードを書いています。
目指せ、ロッキー!(笑)
ここら辺、次回お会いした際、いろいろな人に聞いてみたく思います。
ここまで書いてきてこんなこと言うのもなんですが、“私の企画です!!”って主張したいわけではないのです。
青いですけれど、心とかデザインとか目に見えないものを、もっと大事にしてほしいのです。切実に。
企画はタダじゃないので。
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「BRUTUS」のmusic特集、肩透かしでした。しかし有名人のおすすめディスク企画は一読の価値あり。
そこに常盤響さんが。彼は「オナジ ソラノシタ」という番組で写真を撮っていた人。いつか一緒にお仕事したいなぁと思うカメラマンさんです。オススメディスクが相当渋くて、興奮。乾いた“ど”ブルージーなもの出してくるのかな。とか勝手に想像していたので。
みうらじゅんさんのクリムゾンとかは想定内でした。