吉田リョウくん
ギタリストの彼との出会いは、彼がインディーズでアルバムを出すときでした。
雑誌のレビューやパンフを見てくださって、編集部に直接お手紙をくれたのでした。
そこには自分のことやグループのことや、春畑さんを尊敬していることなどが書いてありました。
そしてその最後に。
「よろしければボクたちのレビューを書いていただけませんか?」
原稿の依頼でした。
正直悩みましたが、私は彼に1回会ってみることにし、実際に会って、お話をして、そして原稿を書くことを決めました。
理由はひとつ。
1枚でも多く売れてほしかったから。
彼はいつか春畑さんと一緒にプレイすることを望んでいました。
しかし「オレはまだまだダメなんで、(春畑さんに)あわせてもらおうなんておもっていない」
彼はいつも私に言いました。
本来なら直接ご本人と仕事をしている私みたいな立場の人間が、ファン? の方とこんな風に近くにいてはいけないと、なんとなくずっと思っていますし、それが正解だと私は思っているのですが、彼に関しては、それを超えて、同じ同士としてたくさん酒を飲み、語りました。
新譜が出るたびに、「ぜひ聴いてほしい」とCDを送ってくれました。
私もいつか彼がメジャーデビューして、その原稿を書くことが夢でした。
もちろんライターは指名してよね。という約束もしていましたが。。。。
そんな彼の訃報を先日、彼のお母様より教えていただきました。
彼の最後のアルバムが今、手元にあります。
きっと感想を彼にいったら「まだまだっすよ」なんていって笑う声が今にも聞こえてきそうです。
また「ほんまっすか?○○さんにほめてもらえるのはうれしっす」とか。
彼が笑いながら話す京都弁が、今でも鮮明に思い出されます。
仕事なんかよりも優先して、彼のライブに行けばよかった。
私の中で後悔だけが残っています。
本当にごめんなさい。
私たちは決して保障のない何かをいつも欲しがっていたような気がします。
そして、目に見えないものや自分との戦いがキツくて、いつも折れそうになっていたよね。
そんな話をたくさんしました。
お互い頑張ろうと、夜中長電話したこともありました。
そして彼が自信をもっていい曲ができた。
と言ったとき、同じアーティストとして、春畑さんと酒を飲もうといっていたのに……。
大事な約束が何一つ果たせなくて、とても残念に思います。
そして、私が彼にできることは彼の残したこの最後のCDを、1人でも多くの人に聞いてもらうことですね。
ということでレビューを書きます。